GA4の離脱率をみんなは勘違いしている!UAとの違いを解説

Googleアナリティクス

GA4の正式リリースは2020年10月。UAからGA4への完全移行(2023年7月1日~)もとうに過ぎ去り、普段からある程度GAをさわっている人なら、そろそろ慣れてきたタイミングではないだろうか。

計測手法が変わったり、ディメンションや指標の定義が変わったりといろいろ忙しいが、離脱率もまたそうである。

ただし今回話題に挙げたいのは、離脱率の指標がなくなったという周知の事実ではない。
離脱率の定義がUAから変化したのに、ほとんどの人がその事実を知らないということだ。

今回は、そんな危機的状況に警鐘を鳴らすべく、離脱率の定義について解説したい。

GA4における離脱率の定義

まず、UAのときの離脱率の定義をおさらいする。UAのときといっても、現在もほとんどの人が下記の計算式から導き出すものだと勘違いしているはずだ。

離脱率 = 離脱数 ÷ ページビュー(現GA4では「表示回数」)

しかしGA4の場合、正しくは下記のような計算式になる。

離脱率 = 離脱数 ÷ セッション

「本当にそうなの?」と思う方のために、Googleの公式ドキュメントを下記に示す。

離脱率は、あるページやスクリーンで終わったセッションの割合です。この割合は、離脱数をセッション数で割った値になります。


お客様のサイトで 1 回のセッションを毎日行ったユーザーの場合:

月曜日: 閲覧開始 > ページ B > ページ A > ページ C > 離脱
火曜日: 閲覧開始 > ページ B > 離脱
水曜日: 閲覧開始 > ページ A > ページ C > ページ B > 離脱
木曜日: 閲覧開始 > ページ C > 離脱
金曜日: 閲覧開始 > ページ B > ページ C > ページ A > 離脱

(中略)

離脱率

・ページ A: 33%(ページ A を含むセッションが 3 回、ページ A から離脱したセッションが 1 回)
・ページ B: 50%(ページ B を含むセッションが 4 回、ページ B から離脱したセッションが 2 回)
・ページ C: 50%(ページ C を含むセッションが 4 回、ページ C から離脱したセッションが 2 回)

[GA4] 閲覧開始数と離脱数

うん。何度見ても間違いない。

日本語のドキュメントはもともと英語で書かれた原文を翻訳したものであるから、微妙に間違った翻訳をしている可能性もあるかと思い、念のため英語版も確認したが、そこにも“session”としっかりと書かれてあった。

Exit rate is the percentage of sessions that ended on a page or screen. The rate is equal to the number of exits divided by the number of sessions.

[GA4] Entrances and exits

Google先生、疑ってごめんなさい!

GA4とUA離脱率の定義が違うことによって何がどうなるのか

ページビューは閲覧されるたびにカウントされるのに対して、セッションは固有の回数(何度閲覧されても、同じセッション内では1カウント)であるため、分母がページビューだったUAのときとくらべると、GA4では離脱率は低くなる。

ただし、UAの数値と比較しないかぎりは、そこまで大きな影響もないだろう。離脱率は通常、同じカテゴリのページ同士でそのパフォーマンスを比較するときに使うものだから、分母がページビューからセッションに変わろうと、比較の公平さは担保されるはずだからだ。

離脱率はどのようにして確認するか

GA4の探索レポートを使い確認するのがオススメだ。

直接的に離脱率を出せる指標は存在していないため、下記のようなレポートをつくってGoogleスプレッドシートあるいはCSVエクスポートし、計算するしかない。

ディメンション:ページパス+クエリ文字列
指標:離脱数、セッション
※ディメンション「ページパス+クエリ文字列」に指標「セッション」をかけあわせると、UAのときの「ページ別訪問数」と同じ定義になる

なお、GA4にはUAと同じく、既存の指標を使って新たな指標をつくれる「計算指標」の機能があるのだが、離脱率はなぜかつくれないような仕様になっている。

計算指標は操作画面の「数式」において、プルダウン表示される指標から選んで式をつくるかたちで設定するのだが、離脱数を検索しようとしても候補に表示されないのだ!!
ご覧のとおり、“離”と入力した段階でもう「指標は見つかりませんでした」の文字が。用意されている指標は、この文字のところに候補が表示される。

私の記憶に間違いがなければ、前までは設定可能だったはずなので(過去に計算指標で離脱率をつくったことがあるため)こちらからつくったことがあるのだが、設定したはずのプロパティの計算指標設定画面から、つくった離脱率が消えている。

Google先生、なんてことを。。。

おわりに

もう一度おさらいしておくと、GA4の離脱率は以下のような定義になる。

離脱率=離脱数÷セッション

「GA4 離脱率」と検索すると上位に表示される強ドメイン企業サイトでさえ、分母をページビューとする間違った情報を発信しているので、くれぐれも気をつけていただきたい。